interview

2020.10.09 掲載

荒畑佐千子/ジャズボーカリスト

ミュージカルに憧れ、ダンスや声楽、演劇を本格的に学んだ荒畑さんは、現在、ジャズライブを意欲的に行うほか、ボーカル講師として活躍しています。ご自身が教える立場になってもなお、生徒としてレッスンを受け続けている荒畑さん。その理由とは? ボーカリストの荒畑さんにお話をうかがいました。

荒畑さん2

 

ミュージカルからジャズボーカルに転向し、プロの道へ。
4歳からピアノを習い、小中学校では演劇部、水泳部、体操部に入ってアクティブな子ども時代を過ごした荒畑さん。
「サウンド・オブ・ミュージック」が大好きで、「ミュージカルに挑戦したい」という思いを持ち続け、短大生のころ、ミュージカルスタジオに通い始めました。
発表会で、憧れの初舞台も経験。短大卒業後は、そのまま劇団に入る道もありましたが、もっと学びたいという思いから専門学校に進学。ダンス、演劇、声楽に勢力的に取り組みます。
「当時の生活は、午前中バイト、午後は授業でがっつり踊って、夜はまた別のバイト。帰りの電車は睡魔との戦いでした(笑)」
夢に向けて邁進する充実した日々。しかし、転機は突然訪れます。
「踊りすぎで、腰の骨にひびが入ってしまって。体を動かすことが好きで、当時はダンサーになるつもりだったので、本当につらい体験でした」
ところが、このアクシデントがジャズボーカルに目を向けるきっかけになりました。惹かれたのは、アイドル的な歌手とは一線を画す、ジャズボーカルの「格好良さ」。
通っていた学校に、クラシックからジャズに転向した歌の先生がいたことも幸いし、あらためて発声から学び、卒業後は、フリーランスのシンガーとして音楽活動をスタートさせます。

現在はライブ活動のほか、ボーカル講師として活躍中。
2000年のカラオケブームのころ、大人のための歌の教室で教え始め、その後、大手楽器店やカルチャースクールなど、徐々に教える場所が増えていきました。一時期は180人も生徒さんがいたことも。
「教えるときは、生徒さんより少し歌のことを知っている、少し先を行くお姉さんというスタンスです。あまり先生っぽくはないかもしれません」
また、生徒さんに対してルールや価値観を押し付けることはしないといいます。
「自分がされたら嫌だし、そもそもルールなんてないんです。こうするべき、という決まりはない。生徒さんが何をやりたいのか聞き出して、そこにプロの視点からちょっと内容をプラスして教えてあげたい。やりたいことができたとき、みんなキラキラするんです。そのキラキラの瞬間を見るのが好きです」

荒畑さん1
 
レッスンを受けることで得られる、心の平穏。
荒畑さんは学生時代はもちろん、プロミュージシャンになってからも、さまざまな講師のもとでピアノやボーカルのレッスンを受けるなど、「学び」にとても積極的。その理由をうかがうと、「不安だから」という答えが返ってきました。
「中身や実力で勝負したい、しないといけない。でも、自分には勝つための武器が足りないと思うことが多くて。そんな不安を消すために、レッスンを受けます。もっと成長したいと思うんです」
学ぶことは、スキルアップのほかに心の平穏にもつながると、荒畑さんは言います。
「私の状態や気持ちをわかってもらえる、という嬉しさや安心感からでしょうか。レッスンを受けると、波立っていた心がまっ平らに、穏やかになる。まるで禅寺に行くような効果もあります(笑)」
「不安」という一見ネガティブな気持ちを、「学び」を通して、表現する力に変えていく。エネルギッシュに躍進する荒畑さんのパワーの源は、そんな発想の転換にあるのかもしれません。
 
ライター/かわださやか (取材当時2020年7月)

3荒畑さん

荒畑佐知子(あらはたさちこ)

大阪ミュージカルスクールstage21にて、ダンス・演劇・声楽の基礎を学ぶ。在学中からジャズに興味を持ち、卒業後徐々にライブ活動を始める。その後ニューヨークで本場ジャズに出会い、感銘を受ける。それを機に本格的なジャズをめざし、ジャズボーカルを大畑あき子氏、大森浩子氏、ボイストレーニングを滝川千春氏に師事。現在の活動は、関西、東京のライブハウスおよび著名ホテルにてのジャズライブ。その他、テレビ・ラジオの出演を含め多くのステージをこなす中、大手楽器店やカルチャースクールのボーカル講師やボイストレーナーとして指導を行う。近年、劇団などの音楽指導も手がける。

荒畑佐千子オフィシャルサイト
https://ara-ala.com